瞳の中のエタンセル

音楽と車と歴史が好きな格闘ゲーマー

僕らがブログを書く理由

実は以前にもブログを書いていた時期があった。

 

あれは大学生の頃だった。

一般的に大学時代というのは「人生の夏休み」とも呼ばれる程に自分自身の為に使える時間がたっぷりと貰える4年間であり、世の中の多くの大学生達がこの貴重な期間にアルバイトでしこしことお金を作り、そのお金を以て、数年後には体力的に厳しくなるであろう娯楽の数々を経験していくのである。勿論、それが必ずしも一般的だとは言い難いが。

 

当の私はと言えば…これがどうにも華のないキャンパスライフを送っていて、講義が終われば決まった面々で食堂に集まり、何の実りもないような話で3時間近く盛り上がってみたり、面々が登校していない日は真っ直ぐ家に帰り、誰にも聴かせない曲を作ってはカセットテープ(当時既にSDカード等が存在していたので猛烈な時代遅れだ)に散々吹き込んでみたり、誰も読まない漫画を20巻近く描いてみては悦に浸ってみたりしていた。

時折はゲームセンターに寄って格闘ゲームを遊んだりもしていたが、基本的には自室で何か作るという…中途半端にクリエイティブな趣味に没頭していたのだ。

 

クリエイティブなのは良いとしても、そのクオリティは実に酷かった。

漫画の方はA4用紙を折ってホチキスで閉じただけの、一見するとフリーペーパーや、イベントの入り口に置いてある会場案内のような出来だったし、絵心なんかはまるで無い。

音楽も同じだ。楽器はそれなりに頑張って弾いていた。歌詞だって真面目に書いてはいた。ただ、いかんせん楽器が高校生の頃に買った初心者用の激安楽器だった上、カセットテープを2本用意し、ラジカセ2台を向き合わせて多重録音(具体的なやり方は「ラジカセ ピンポン録音」等で検索して欲しい)していたので、音質なんかは出鱈目に悪い。例えるなら戦時中のラジオである。

 

恐ろしいのは、それらの作品達は変に思い出が詰まっている為、処分しようにも出来ないという点である。私はこれらのカセットテープや会場案内の束を今後どうすれば良いのだろう。墓場まで持っていくのだろうか。

あるいは、親族の誰かが遺品整理の際に発見し、善意か悪意かわからない心でYouTube等にアップロードしてしまうかもしれない。

先に申し上げておきたい。マジでやめてね。やめて下さい。

 

さて、それにしてもどうしてこんなチープな創作活動を約4年…就活が始まる辺りで漫画は引退していたが…も続けていたのか、という話だが、私だってこのクオリティで満足しているわけではなかった。

そうせざるを得なかったというか、要するにお金の問題だった。と言うのも、当時の私はアルバイトをしていなかったのである。

 

理由はいくつかあったが、最も響いていたのは、学生食堂で見た名前も知らない上級生達の会話だった。

講義が終わると馴染みの面々で食堂に集まって雑談する、というのは前述の通りだが、私の通っていた大学ではこれが割とポピュラーな過ごし方であり、講義が終わってもさっさと帰らず、いつまでもお喋りしている学生達が食堂には大勢いた。

 

ある日のこと、いつものように講義を終えて食堂に向かい、他の面々が各々の講義から帰ってくるのを待っていると、黒いキャップに黒いシャツ…何かと黒に染まりたがっている太めの男子学生と、非常に濃い化粧とパッサパサに痛んだ髪が印象的な女子学生がやって来て、私の近くの席へ座った。

特に気にせず、私は当時出入りしていたガラケーコミュニティサイトにしこしことネタを投稿していたのだがーーー余談だが、当時は『FBI』というコテハンで常連をやっていた。大好きだったベーシストであるEBI氏(奥田民生氏・阿部義晴氏らが在籍するバンド・ユニコーンのメンバー。1993年解散。2009年再結成。)へのリスペクトでそう名乗っていたーーーその時に聞こえて来た太めの男子学生の台詞が秀逸だったのである。

 

「だって考えてもみろよ。俺らはこれから社会人になるだろ?な?したら懲役40年で働かされるわけだ。やらねぇと飯が食えないし。だから今この学生のうちにだな?わざわざ労働するって言うのが、俺にはもったいねぇと思うわけ。だから!俺は!卒業するまで!仕事はしないと!決めたの!」

 

今になって思い出してみれば実に出鱈目な論理ではある。

だが、貴重な大学生活にせっせとアルバイトをすることに対して後ろ向きだった当時の私の甘ったれた思考に、如何にもそれらしい正当性を付与するには十分な説得力があった。

あれから既に10年以上の時が経ち、私自身も日々労働に勤しむことに対して何の疑問も持たなくなったが、今だにこうして文字起こしが出来る程に記憶に残っているという辺りから、当時の私がどれほどのインパクトを受けたかは容易に察することが出来るだろう。

 

斯くして、多趣味なのに収入がないというチグハグな大学生が完成した。

とは言え、「絶対に自分の車を買うんだ!」という目標の下で幼稚園児の頃からコツコツ進めていた大切な貯金(大半はお小遣いやお年玉で構成されている)は大学の教材購入でどんどん消えていくし、親しい友達は多くがアルバイトで収入を得て、瞬く間に垢抜けていく。

 

これはまずい。

 

すずめの涙でも良い。

 

わずかでも収入を得なければ。

 

 

そこで目をつけたのがアフェリエイトだった。

 

 

不純な動機で始めたブログには音楽やゲームのこと…時には当時ハマっていた政治のこと等を好き勝手に綴った。

恐ろしいのは、今も尚残っており、検索してしまえば当たり前のようにヒットしてしまうことだ。

そのブログは2015年辺りを最後に更新が止まり、今もひっそりと私のログインを待っている。

そんな期待を他所に、私は今ここ…はてなブログという新しい場所にブログを開設してしまったわけだが。

 

私の主な発信源は専らX(旧Twitter)であるが、SNSというのは得てして不安定なもので、突然投稿が読み込めなくなってみたり、原因不明のアカウントロックを食らって暮れたり、或いはサービスそのものが終了してしまう可能性すらある。

 

私が今回ブログを始めた理由は、そうなってしまった場合の避難先として、である。

もしくは、短文では伝えきれないような長い物思いや、フォロワーさんのTLを汚してしまいかねないどうでもいい戯言を吐き出す場所にしようと思う。

 

 

公式更新は不定期だ。

しかしながら、魂を込めて綴ろうと思う。

どうか少しだけ付き合って頂けると嬉しい。

 

宜しくお願いします。